マキネッタとは？イタリアの家庭に息づく「直火式エスプレッソ」の歴史を深堀り解説

2025年6月12日

エスプレッソの本場、イタリア。
そのコーヒー文化の中心にあるのが、直火式エスプレッソメーカー「マキネッタ」です。
近年、日本でも再び注目を集めているマキネッタの魅力と背景を、歴史から最新のライフスタイルまで徹底解説します。

イタリアのコーヒー文化とマキネッタの誕生

イタリアはエスプレッソの本場として知られています。その歴史は古く19世紀後半にナポリでエスプレッソマシンが登場したのが始まりとされています。エスプレッソは、短時間で高圧で抽出した濃縮コーヒーでイタリア人の生活に深く根付いています。

そんなイタリアのコーヒー文化の中でマキネッタは家庭にエスプレッソを普及させる上で重要な役割を果たしました。

後、イタリア経済は厳しい状況に置かれましたが人々はコーヒーを楽しむことを諦めませんでした。そんな中、家庭で手軽にエスプレッソが楽しめるマキネッタは、庶民に愛される存在となったのです。

イタリアでは朝食にエスプレッソを飲む習慣が根付いています。マキネッタはそんなイタリアの朝食文化を支える重要な道具の一つと言えるでしょう。

マキネッタは、イタリアのほぼすべての家庭に一台はあると言われる直火式のエスプレッソメーカー。
1933年にイタリア人のアルフォンソ・ビアレッティ氏によって発明されたこの器具は、電気不要で、シンプルな構造ながら、濃厚なエスプレッソに近い味わいを抽出できることで人気です。

「Moka Express（モカ・エクスプレス）」という代表モデルが、ビアレッティ社からリリースされ、世界中で愛されるようになりました。

マキネッタの発明者であるアルフォンソ・ビアレッティはある日、洗濯物を干している最中にひらめきを得たとされています。洗濯物が洗濯板で擦り合わされる様子を見てコーヒー豆を粉砕し蒸気で抽出するというアイデアを思いついたのです。このシンプルな発想から、後のマキネッタが誕生しました。

マキネッタは多くのイタリア人にとって、家族の思い出と深く結びついています。祖母が孫にマキネッタの使い方を教えたり、家族みんなで集まってマキネッタで淹れたコーヒーを飲んだりするなど、マキネッタは、イタリアの家庭において、コミュニケーションを深める大切な役割を果たしてきました。

イタリアの朝は、マキネッタで始まります。

「カチカチ」という金属音、
「ゴボゴボ…」という抽出のサウンド、
そして台所いっぱいに広がるコーヒーの香り――。

この一連の流れがイタリアの家庭では“日常”として繰り返され、コーヒーを淹れる時間そのものが生活のリズムをつくっています。

マキネッタは単なるコーヒー器具にとどまらずイタリアの生活様式や文化に深く根付いています。

家庭でのコーヒー文化の定着: マキネッタの登場により、エスプレッソは特別な飲み物ではなく、日常的に楽しめるものとなりました。
地域ごとのコーヒー文化: イタリアには地域ごとに独自のコーヒー文化が存在します。マキネッタは、それぞれの地域で愛され、地域ごとのコーヒー文化を育む上で重要な役割を果たしてきました。
イタリアの食文化の一部: マキネッタで淹れたエスプレッソは、イタリアの食文化の一部として、パンや菓子と一緒に楽しまれています。